
タイ 天使の国から―性を売る女たち
大内治 マルジュ社 1997年 2500円
一昔前の本です。
「この本はタイの流行歌・小説・映画さらには歴史まで含めて、タイ人にとっての等身大のタイの売春婦の姿を描こうと試みたものである」(あとがき)。
タイの流行歌の歌詞が唐突、かつ、しつこく出てきたり、映画のことが強引に出てきたり…。ずいぶん変な書き方です。
ルポみたいになっている部分もあれば、抒情的な随筆みたいになっているところもあり、変な書き方をしたばっかりに、多くの読者にとっては良く解らない一冊になってしまっている。
おそらく著者は、ありふれたタイ売春記録本にはしたくなくて、「タイの歌や映画といった文化」を横軸にしてタイの売春を表現したかったんだろうと思う。でもうまく書けなかった(というか独りよがりになってしまった)のではないかな。
結局何が言いたいのか解らんうえに、客観的に見て、出てくる歌や映画が売春とはあまり関係が無く、なおかつこの横軸もまとまりがてんでないのだ(おそらく著者からすると関係大有りでうまくまとまってるつもりなんだろうけど)。
80年代のタイの売春について書かれているか? と思って読んだんですが、そういう部分もあるにはあるんだが、とりとめもない書き方ゆえに、だいぶ読むのがしんどい本でした。