デリヘルはなぜ儲かるのか

投稿者: | 2012年12月29日

デリヘルはなぜ儲かるのか

松本崇宏 小学館 520円 2007年

裏表紙には 『サラリーマンも知っておきたい、度肝を抜くナイトビジネスのおいしいノウハウ。本書を読めば、風俗営業の裏の裏まで見えてくると同時に 、企業会計の基本から、法律にのっとった正しい風俗営業の起こし方まで学べます』とある。

とうぜんタイトル買いした私は「会計士視点からデリヘルを斬る!」みたいな内容を期待していたんだが、 いや~恐ろしい内容でしたよ奥さん。

まずタイトルに「なぜ儲かるのか?」とあるが、儲かる儲からないとは関係ない話のボリュームが50%以上を占めている。 いったい、この本が何を伝えようとしているのか不明だ。

読んだ限り全体構成は大きく3つにわかれるのだが、その3つともが「デリヘルの儲け」とはあんまり関係のない話なのだ。 骨子は以下の3つなんだが、それも併せて今回はひたすらダメ出ししてみよう(笑)。

構成その1(1P~78P)

デリヘルとは何か・・という法律やビジネスモデルの話と、 自分の会計事務所のクライアントであるデリヘル社長の遠藤さんから聞いた「遠藤社長の店のおいたち」が書かれている。 社長の店はそういう風に始まり、女をこうして集め、軌道に乗りましたとさ。という話。著者が遠藤社長をリスペクトしてるのは良くわかりましたよ。ハイ。

構成その2(80P~155P)

著者の得意分野の、節税・開業に当たっての届け出書類・法人化のメリット・脱税手法、などが書かれている。 しかしこれは一般企業の一般論が書かれているだけで、別に「デリヘルならではの話」は出てこない。

構成その3(157P~234P)

デリヘルの裏話、デリヘル嬢のマネジメントの仕方、などが書かれているが、 著者が体験した話ではないはずなので、クライアントの遠藤社長から聞いた話なんだろう。そうじゃなかったらネットで拾ったんか(笑)。 ちなみに遠藤社長は普通のデリヘルの社長で、それ以上の何物でもない。

極めつけが最初の6P。 この6ページだけで間違いが5ヵ所もある。てゆうか具体的に書いてる部分が全部間違ってる(笑)。 合ってるのは「デリヘルは固定費が少ないビジネスモデルだ」っていう結論部分だけ。 面白いから間違い部分を紹介する(笑)。

デリヘルとは、女性が自宅やホテルに出張してサービスをしてくれる風俗の一形態だ。客の立場からすれば「家にいながらにして、電話一本で自宅が風俗に早変わり」という便利さが魅力だ。電話して好みの女性のタイプを告げ、後は待つだけ・・・いたって気軽に利用できるサービスなのだ。

著者は「デリヘルはホテル(宿泊目的でない)への出張もあり、むしろそれが主流」という事を知らないのだろう。とうぜん、ホテルヘルスという業態があるのも知らないんだろう。

この”出張型”の風俗が登場したのは1990年代半ばのことと言われている。その後、目新しさも手伝って徐々に増えていったものの、その当時は明確な規制法が存在しておらず、合法とも非合法ともいいかねる存在だった。だが、99年の「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」の改正によって、「無店舗型性風俗特殊営業」という名で正式に認められるようになった。影の存在だったものが市民権を得たようなものである

著者のいう「出張型の風俗」とは何なのか。ホテトルの事なら90年代半ば以前からある。そしてあれは100%非合法だ。 今でも市民権など得ていない。

そのあとの記述にも、

デリヘル業者はこの法律改正により、きちんと届け出さえしておけば、堂々と警察に訴え出ることができるようになった。また、なにより合法だという安心感がさらに客を呼ぶことになった。

というようにあるので、 どうも著者はホテトルとデリヘルを混同しているようだ。

一方、従来からあった店舗型のソープランドやファッションヘルスには、逆風が吹くことになった。「許可地域しか出店できない。許可地域内であっても、保護対象施設の周辺には出店できない」などの厳しい規制を受けることになり、とくに新規出店は非常に困難なものになったのである

あの、それは99年の法改正で定められたものではなく、大昔からそうなのですが・・。

店舗型の場合、客が来ないときでも風俗嬢に基本給を支払わなければならない。だが、無店舗型のデリヘルは、登録したデリヘル嬢を自宅待機させておき、客からの電話があれば、指示するだけ。ほとんどの場合、完全歩合制なので無駄な人件費がいっさいかからないというわけなのだ

一体誰からそんなことを聞いたのか(笑)。そんな風俗店だったら求人応募殺到するだろ。 もしかして求人誌に書いてある最低保証額を本気にしているのか!? (どうも、最後まで読むとクライアントの遠藤社長の店は入店時だけ最低保障(時給!)があるらしいので、著者はそれが全国デフォルトだと思っているのだろう)。しっかし自宅待機で直行直帰出来るくらいセルフマネジメントのできる風俗嬢ばっかりだったら苦労しないんだが(笑)。

基本的に、デリヘルを利用する客は、自分の気に入った女性を、インターネットを通して見つけ、予約することになる。もちろん、店舗型でもインターネットに女の子の情報を流しているところはある。だが、基本的には、馴染みの店があったり、好みの子が決まったりすれば話は別だが、初めてのときなどは、風俗街をそぞろ歩きながら、店頭に張られているチラシなどをこまめに眺めていくことが多い。もちろん、よりかわいい女性を見つけたいという人は、何店も見て回る。そして2~3人に絞ったところで、最終決断するために、もう一度、店舗間を行ったり来たり・・・・。

店頭にチラシが貼ってあるって・・。誰だよそんな嘘教えたの(笑)。 店舗型でもウェブサイト作って女を閲覧できるようにしたらイイだけだろ。そしてどの店もそうしてるじゃないか。 ウェブでも見れて店舗へ直接行ってもパネルを見れて、店によっては女の実物も見れるのが店舗型で、ウェブでしか見れないのがデリヘルなんだよ。昔はウェブがなかったから派遣型風俗はチェンジがあったんじゃないか。

最後の章はまさに牛乳吹けるレベル。 遠藤社長に聞いたのか自分で考え出したのかしらんが、独自の考察による、 嬢が本指名を取るテクニックや流行る店の作り方とかが書かれている。まじウケる(笑)。

そのほか全体を通して随所に、ブランド物のスーツに身を包んだ社長よりジャージ姿の方がデリヘル嬢に信頼される・・とか、 事務所を借りずに自宅アパートやマンションをデリヘル事務所にするのがよい。みんな事務所を別に持ちたがるのは世間の目があるからだ・・とか (んなわけねーだろ。管理会社や家主の許可が下りねーからだよ)

超ウケるんだけど(笑)。

あ、そろそろ終わりにします。

最後になりましたが、アマゾンの評価は高いです!(爆)