新潮社 水上勉 1986年(文庫本は1989年) 1000円
画像は単行本です。謎のタイトルですが、瀋陽っていうのは中国東北部の地名です。むかし、満州国の時代は奉天と呼ばれていました。作者は飢餓海峡とか五番町夕霧楼で有名な水上勉です。
内容はですね…
水上は19歳で満州に渡り、半年ほど現地に住んでいたのですが、そのとき住んでいた家と遊びに行った遊郭を49年後の67歳になった時に実際にもう一度見に行くという、旅行記と当時の回想が混じったような話です。まあ、水上勉のエッセイというか日記というか、そんな作品ですな。
何でここで紹介するかというと、遊郭とセックス関係の話だからなんですけど。身もふたもないですけど。
「瀋陽の月」とかわけわからんカッコつけたタイトルになってますけど、実際には大連の逢坂町遊郭と瀋陽の柳町遊郭跡を見に行きたい、というかここで何度か寝た女に、今となっては会えるわけないけど思いを馳せて何か痕跡を見つけたいなあ…みたいな話なんですよ。全編通して(笑)。
19だけど童貞じゃないとか、五番町遊郭で遊んでたとか、そんな水上のリフレッシャー的な部分も垣間見れるので、そこいらも楽しめるんじゃないかな。実際に現地で遊郭跡に辿り着けたのかは読んでのお楽しみで。そんなに長い作品じゃないのですぐ読めます。
まあ、そういった内容のせいかどうかは知りませんが、ビブリオマニアからの評価は辛いみたい?ですけど。私はちょうど満州の遊郭のことを調べてるときに読んだのでなかなか面白かったです。