花畑

By | 2019年6月23日

花畑

水上勉 講談社 2005年 1700円

水上勉の晩年の作品です。私は長野の連れ出しスナックを調べているときに、この本の存在を知りました。文庫にはなっていないので古本を探して買いました。アマゾンでは高値が付いてますが運よく300円で買えましたよ。

文学ですけれど、読みやすいです。前半はエッセーみたいな感じですね。内容としましては、一般的には、「年老いてからの人生とは…を考えさせられる作品」「生と死と人生を現わした作品」とかになるのでしょうか。

しかし! それは違うのです。水上勉がリフレッシャーであったことを忘れてはいけません。この本はそんなテーマではないのです。この作品はですね、リフレッシャー、それも長野の裏風俗事情に精通している上級者が読めばめちゃくちゃ面白いのです。そうでない人からすると、田舎の爺の枯れた生活の話に無理やりタイ人の若娘を花として添えた落としどころのない作品になるのだと思います。

いいですか、舞台は長野県の佐久市です。時代は1990年代の前半。信州タイスナック全盛期の頃です。オーバーステイのタイの出稼ぎ売春婦と現地の爺さんの恋心とそれを傍から眺めた余所者のリフレッシャー水上勉が綴った報告書だと言えばどうでしょうか。

読み進めながら、タイトルをなぜ「鳥籠」ではなく「花畑」にしたのか…花畑を育てる描写は前半だけじゃないか……なんか無理やり感があるなあと思ったんですが、最後のページを読んでなるほど「花畑」でよかったんだと納得した。ページが終盤に近づくにつれ、この物語はどうやって締めるのかと思ったけれど、この辺はさすがに著名作家だけあって上手ですね。ほんと花畑ってタイトル完璧すぎるな(笑)。

あ、しつこいですけど文学ですからね、これ。ルポじゃないよ。