洲崎パラダイス (集英社文庫)

By | 2020年1月10日

洲崎パラダイス (集英社文庫)

芝木好子 講談社 1955年(文庫は1994年) 0000円

底辺の女と、そのおまけの底辺の男が主人公の短編集です。昭和30年くらいに書かれたものです。「赤信号」が付く映画の方が有名ですね。

タイトルのを含めて6話入っています。1話目の「洲崎パラダイス」は「洲崎パラダイス赤信号」、6話目の「洲崎の女」は「赤線地帯」の原作みたいなものです。すべての話が、洲崎特飲街(洲崎遊廓の跡地・赤線街)が舞台になっています。登場人物はそれぞれ違い、連続性などはありませんが、すべてに入口ゲートの際にある一杯飲み屋が出てきます。もろに特飲街の話ではなく、その境界ギリギリのところにある男女を書いたお話です。

ギリギリというのは物理的にギリギリというだけで、ストーリーは決してギリギリではなく、いわゆる辛気臭い話なのです。登場人物の描写がすこぶる良いです。見事なまでの底辺っぷりです。よくここまでイライラさせる底辺男女を書けるものだと感心します(笑)。

オチやメリハリのある、はっきりしたストーリー、ハッピーエンドを好む人、などにはお勧めできませんが、ネオン街に堕ちるダメ女とダメ男にイライラしたい人にはお勧めです(笑)。ストーリーや滲み出る底辺臭は、映画より原作のがいいと思います。映画は新珠さんの演技が8割くらいですからね。