いろまち燃えた―福原遊廓戦災ノート

投稿者: | 2020年10月23日

いろまち燃えた―福原遊廓戦災ノート

君本昌久 三省堂 1983年 1200円

昔の本です。戦前戦中の福原遊廓のことが書かれているのかと思ったら、ちょっと違っていた。

最初は、遊廓の内情(一般論)、福原遊廓エリアの空襲の惨状など。主に著者が本で読んだものを引用したもの。(たぶん著者的には「戦前」という位置付けなんだと思う)

中ほどは、なぜか従軍慰安婦のこと(たぶん著者的には「戦中」という位置づけなんだと思う)

最後は戦後の福原エリアについて。このへんでやっと3ミリくらいタイトルとの整合性ならびに、独自調査であるノートとか該当エリアの証言とかが出てくる。

ようは、結論ありきの著者の主観で書かれた本で、裏付けらしきものは「自分の読んだ本からの引用」なのだ。嫌味な言い方をしてしまえば、朝日新聞の吉田さんや毎日新聞の千田さんがそう書いてるから、というレベルの物なのだ。

これはまあ、レベル的には卒論だね。

この卒論を読んだ私が解りやすく解説するとだね……、福原遊廓の遊女は空襲で大勢死んだと思うが、それが記録されていないのではないか。だから自らが歩いてノートをとって記録するよ。というテーマなんだが、記録ノートがメインだったらよかったのに、肝心のその部分はほとんどなくて、自分(著者)が読んだ本の引用で典型的な卒論みたいなのが仕上がったよ。反戦および人権という著者のポリシーも入ってるよ。というものだね。

巻末の著者プロフィールは、「1928年10月12日、大阪市生まれ。立命館大学文学部哲学科卒業。日本現代詩人会会員。」とだけある。なんだこれ。やっぱRitsの卒論じゃねーのか(笑)。