ブラックアジアインド番外編 絶対貧困の光景 夢見ることを許されない女たち

投稿者: | 2020年12月4日

ブラックアジアインド番外編 絶対貧困の光景 夢見ることを許されない女たち

鈴木傾城 ラピュータ 2014年 1500円

ブラックアジアの第2弾。インドが舞台。時代は同じく一昔前の思い出から始まり、前作のように著者の売春記録になってはいるが、ちょっと体裁が違っており時系列で進行する。売春宿に行きまくってその思い出を回想するのではなく、最底辺の人生を送るインドの底辺女をしつこく追いかける話になっているのだ。

追いかけるというのは「インドの底辺を追うドキュメンタリーもどき」ではなく、たんに著者が男としてこれらの女に興味を持っているからである。だから、追いかけられる側として売春婦が数名登場する。その数名意外の女は登場しない。まあ写真みたらビビるで。どんだけ重症なんだよお前。

そう。今作は写真が使われているのだ。著者が撮ったとある。けっこう、というかかなり上手な写真だ。心得があるのかな。

一言でいうとインドの底辺のリアルが書かれた本である(もちろん、沢山いる底辺のうちの一部だけのリアルではあるが)。てことで番外編ってなってるんだと思われます。インドの売春事情や冒険談を読みたい人には不向き。

「絶対貧困の光景 夢見ることを許されない女たち」というタイトルおよびサブタイトルは、大げさに言ってんじゃねーよ。カッコつけんなよ。と言いたくなる。が、確かに読後感は決して心地いいものではなく、夢も希望もない女たちだな…と吐き捨てて本を閉じたくなる。

とくにラストがキツいね。わかっていても。てゆうか最初からキツいか。