
鈴木傾城 ラピュータ 2014年 1500円
ブラックアジアの第3弾。こんどはインドネシアだ。女は15人くらい、全部で237p。
タイトルにあるように、ことさら堕ちたエリア、堕ちた女を強調してくる。そこでプレイする著者なのだが、カンボジアのような諸行無常感やキレが弱くなり、カッコよさが無い。というか女々しいのだ。底辺の男が底辺で底辺の女を買ってちょっと恋をしてしまってセンチになっているだけの話になってしまった。第一弾はカンボジアとタイと、違った国の売春がうまいことアクセントになっていたが、インドネシアはワンパターン。
「可哀そう」「堕ちている」「抜けられない」「この国の現状」といった感情を連ねるだけで、結局いつものようにセックスして恋に落ちて抱きしめて帰るだけなのだ。1つ2つならいいけど、全部それなのでモヤモヤする。
もやもやの最たるところは、著者の恋愛観・結婚観だろう。おまえは本当に昨日あったばかりの外国人娼婦と結婚したいのか?バカ言っちゃいけない。と、大多数の読者は呆れてしまうだろう。きっと著者は女に吸い込まれてしまうタイプの男なんだろう。
念のために申し添えると、結婚観や恋愛観に良い悪いというものは無い。本人(著者)がどう考えるかに尽きる。これは本なので著者の考えが書かれている。それを読んで読者がどう感じるかもまたそれぞれ。それだけの話である。そして、私がここに書くこともしかりである。
怪しい危険なエリアに潜入したりもしているので、もうちょい「男と女の恋愛感情」「底辺で働く女とハイエナ男」以外の書き方があったら面白いのになあ。誰にでも書ける話じゃないしなおさらね。