吉原炎上

By | 2015年8月4日

163

吉原炎上 (文春文庫)

斎藤 真一 文藝春秋 1987年 480円

斎藤真一という昭和時代の画家が描いた画文集。画文集ってなんやねんて話ですが、絵が半分、文章が半分で、紙芝居みたいな感じの作りになっているのです。 んでこの人の描く絵が非常に個性的で、精気がなくて幽霊みたいな絵です。

ストーリーは明治の中頃に吉原に売られた女の物語。著者の養祖母が吉原の娼婦だったそうで、 その養祖母を主人公に設定した吉原物語という体裁になっています。

養祖母(久野おばさん)は著者が子供の時に死んでおり、 また、正確には著者の実母が久野おばさんから聞いた話を著者が聞いて書いたということであり、 完全ノンフィクションということではなく細部は吉原細見など当時の記録を調べ上げて描いたそうです。 このへんのいきさつは、あとがきに書かれています。

久野おばさんは、吉原で花魁(お職)になって、花魁道中にも参加し、 年季が明けてからは朝鮮総督府の高官の嫁になったっていうんだから風俗嬢としてはスーパーエリートです。 いや、風俗嬢じゃなくてもスーパーエリートですね。

今とは時代が違うとはいえ、風俗嬢が燦然と輝く数少ない作品です。

私は風俗嬢の出世物語だと思うんですが、こう捉えると捻くれてると言われるんですけどね。 多くの人は女性が苦労した悲しい話だと捉えたがるようで。

どう考えても書かれていることは吉原がテーマパークで、トップに上り詰めた主人公はエリートで成功者だと思うんだけど。 もちろんその裏では悲しい話やドロドロの話もあるってことだけど、それはどんな職業でも業界でも同じなわけで。

1987年に東映から同じタイトルで映画化されています。 ストーリーはだいぶ違うので別物として見た方が良いです。

絵がメインなので単行本のほうが迫力があるかと思うのですが、買ってない(売ってない・・)のでどんなんかは知らない。 まあ、買うなら文庫版でも十分だと思います。