飛田新地の人々 関西新地完全ガイド

By | 2016年10月2日

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飛田新地の人々 関西新地完全ガイド

鹿砦社 西本裕隆 1,200円 2016年

なかなかセンセーショナルな表紙だ。気になる中身は…まあこんなもんか。文字がでかくて写真やミニコラムがあったりしてムックみたいな感じだな。全部で4章175p。

第1章は関西新地11か所の説明で50pのボリューム。体験談が載っていない版の裏風俗ガイドみたいな感じ。地図も入ってるし、まあまあちゃんとガイドになっている。しかしながら上級リフレッシャーからするとスーパー知ってる内容ばかりなのでとくに目新しいものはない。「~ようだ。~そうだ。」という記述もあるので著者は100%ちんこを駆使して書いているわけでもなさそうだ。いったい戦闘力どれくらいのリフレッシャーなのか気になる。

それからなんで岡町と戸ノ内も入れてるのかが謎…。岡町とか25年以上前に滅亡してるんだがな。上級者的には「じゃあ同じ頃まで遊べた龍神新地も入れろよ」と思ってしまうよね。そんで生駒だけなんで生駒新地じゃなくて「宝山寺」なんだ?

第2章は「新地顧客列伝」と題しておもしろい客のエピソードが14本。風俗本でよくあるパターンですね。

第3章は「飛田今昔物語」として内部事情的な話を少し。スカウトとか広告宣伝のこととか。

第4章は「開業手続きマニュアル」としてマニュアルになってない程度のマニュアルみたいな話。

で、読んでてなんじゃこれ!と思ったのは、著者が風営法と飛田の関係について重大な勘違いをしている事。以下、頓珍漢なことを書いてる部分をいくつか抜粋する。

■『実際に京都の五条楽園や奈良の郡山新地は警察の一斉摘発で消滅してしまった。』(※料亭ではなかったから)

違うから。

■『~つまり、飛田新地内で営業している店は表向きは料亭なので店舗型風俗店ではない。したがって売春防止法の適用は受けないので摘発されることはないというわけだ』

適用は受けるから。それを言うなら「売防法」じゃなくて「風営法」だろ。

■『しかし飛田新地では、現在でも手続きさえ問題なければ新地内で新規店舗を開業することができる』(※新規出店は店舗型風俗店のことを指しています)

性風俗店の開業はできません。

■『料亭なのに風俗営業法の適用を受けるというのもおかしな話だが、飛田新地では料亭という体裁を取ることによって店舗型風俗店を営業しているからだ』

風俗店と性風俗店を混同してるね。

■『さて、それでは飛田新地の店舗は風俗営業法のどの項目で許可を取っているのであろうか。まず、風俗店を営業する場合は風俗営業法に基づく許可を取らなければならない。風俗営業法にはその業務形態によって8つに分類されている。このうち、飛田新地の場合は店舗型性風俗特殊営業の「6号営業」が適用されている。

風営法の勉強不足。

と、まあ読んでいくといろいろ書いてありますが、要約すると著者の根拠は、「飛田は料亭として保険所の許可と性風俗特殊営業の6号営業の許可を取っているから摘発されないし新規出店もできる」というものらしい。あのさ、それは飛田で料亭を開業するために必要とされている条件であって、飛田で売春や性風俗店に類似する行為ができる許可ではないよ。

大前提として、日本国では「セックスのできる風俗店」というのは法律上存在しない。ソープランドはセックスするが、あれは法律でセックスが認められているわけではない。

大前提その2として、日本国の性風俗営業には「許可」という概念そのものがない。すべて届け出制になっている。「許可証」は存在しないのだ。

飛田が摘発されないのは「あそこにあるのは料亭であって店舗型性風俗店ではないから」なのだ。ただ、当然のことながら、違法行為(例えば売春=売防法違反等)があれば摘発され、処罰される。著者も同じことを書いているように見える部分もあるが、読んでいくと全く論理の整合性が取れていないのがよくわかる。解りやすい例を挙げると「飛田は料亭だから摘発されない」と書いておきながら「飛田では店舗型風俗の新規開業ができる」とか書いてる。むちゃくちゃ。100歩譲って便宜上「風俗店」という単語を使っただけとしてあげても良いが、それでも全体の主張が頓珍漢なことは変わりない。

それから重箱の隅をつつくみたいだが、著者の言う「6号営業」という規定自体が性風俗関連特殊営業には存在しないから。著者の言っているのは風俗営業の6号営業(区画席飲食店)のことだろう。著者は風営法をあまりよく理解していないのだろう。そして売防法のこともあまり知らないのだろう。

だから、保健所と所轄の許可を取って組合に入れば料亭の開業ができるというのは正しいのだが、その条件(許可と組合加入)をクリアすれば飛田で店舗型性風俗店(≒性的な行為が合法になる)を開業できるというのはとんでもない間違いなのだ。

そして、飛田はグレーではなくて、実際に売防法違反で摘発されているということを忘れてはならない。パチンコ屋の3店方式は摘発例がないのでグレーだけど、ソープやちょんのまはグレーではなくブラックなのだ。売春行為や性風俗店のプレイのような行為が行われていれば、当然取り締まりを受けるのだ。実際には取り締まりをうけていない場合が圧倒的に多いのは、そのような行為が店ぐるみで行われていないからという「みなし」が成立しているからだ(客と女が勝手に恋に落ちてセックスしたとみなされている)。だから、「それは屁理屈だ!おかしい!」という人が増えれば「みなし」はなくなり、当然摘発を受けて飛田はなくなる。嘘じゃない。各地の多くのチョンの間はそうしてつぶれたじゃないか(かつてのパチンコ屋の「みなし機問題」もちょっと似てるなw)。

ということで久々に新刊のレビューを発売してすぐに書いたんだが、アラ探しみたいになってしまったな。でもその程度の本なんだわw