遊廓成駒屋

By | 2014年3月8日

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聞書 遊廓成駒屋―不思議な場所のフォークロア

神崎宣武 講談社 1,600円 1989年

名古屋の中村遊廓について、著者が聞き込みや回収した資料の精査をして、その当時の様子を浮き上がらせていくという本。 これが書かれたのは昭和時代なので、ちょっと古い時代の本ですな。写真や図版も少し入っているが、基本的には文字ばかり。著者は民俗学者的な仕事関係の人なのかな。 でも、論文チックに書かれておらず、ノリ的にはルポ。 当時はまだギリギリ現役遊廓時代の内側を知っている人が残っていた時代なので、登場するババアやジジイの語りにも妙な説得力がある(笑)。 今じゃもうこんな取材はやろうとしても無理ですからね。

本文は242pあるんだけど、中村のソープランド「新金波」で、著者がフロントの婆に話を聞くシーンから始まる。マニア的にはワクワクしますね。

まあ、詳しい内容は読んでもらうとして、

解体される遊廓「成駒屋」から運び出したガラクタが、いったい何に使われていたのかを異常なまでの興味で推察していくのは、この本(著者)ならではの視点でしょう。 「道具から見る成駒屋」として1章割かれている。 中村遊廓の歴史を定番資料から調べて紐解いて云々~、という大概的な結論に導く視点・構成ではなく、切り口が異色で新鮮。 そして机上の研究だけではなく、足を多く使って書かれている所に多くの読者は共感を得るんじゃないかな。遊廓好きにはなかなか面白い1冊でおすすめ。