ちろりん村顛末記
広岡敬一 筑摩書房 2016年 902円
これ、とても面白い本です。広岡敬一の本では面白さナンバー1です。むかしは中古でしか手に入らなかったんですが、2016年にちくまから復刻してます。
昭和50年代の雄琴ソープランド街の1日を追ったドキュメンタリーです。NHKが本気出して作った時の番組見てるみたいな感じです。最初から最後までおもろいです。「ちろりん村」というのは雄琴ソープ街の別名です。「ソープランドでボーイをしていました」という吉原ソープの本がありますが、それの1万倍くらいは濃い内容です。
広岡敬一の書くソープの本は、女にスポットを当てて女目線で書かれていることが多いのですが、この本は経営者目線でもたっぷりと書かれています。
「ソープ経営者にインタビューして話を聞きました」「業界事情通によると云々」というレベルではなくて、花影(雄琴の第一号店)の創始者・田守世四郎の、花影OPEN当日の朝の様子から話が始まるんですよ。もう読者はこの時点で震えますよね。これがGOD広岡の真骨頂なのです。チンカス風俗ライターとは次元が違います。
経営者と女のことだけではありません。ボーイの仕事から、シャブ、お巡り、周辺環境、アパート事情まで、当時のちろりん村のすべてをOPEN(開店)~LAST(閉店)の流れで書いてあるのです。
この1冊を読めば、お店の裏側事情はもちろんのこと、雄琴ソープランド街の成り立ちと絶頂期をも知ることが出来ます。これ以上に詳しい書籍は存在しないと思います。