海の娼婦はしりかね

投稿者: | 2020年5月29日

海の娼婦はしりかね

辺見じゅん 角川書店 1981年

渡鹿野島の説明によく出てくる「はしりかね」。参考にしてるのは、だいたいこの本じゃないかと思います。昭和50年くらいの本です。

基本的にはエロと関係ない山村・漁村・農村のお話です。いわゆる街歩きならぬ村歩きレポートです。もろに娼婦の話になっているのは渡鹿野島のやつだけです。雑誌で連載されていたのを本にしたようです(女が出てくる話だけを選んで本にしたようです)。日本の田舎に伝わる昔話が好きな人は読んだらおもしろいのでは。

本には以下の話が収録されています。

今は幻のはしりかね(三重県的矢)

生きたまま鬼となった(新潟県青海街)

風でみごもる(和歌山県加太)

あすこん太か男と太か女(熊本県小国)

けものたちと生きる遠野(岩手県附馬牛)

雪の中のいざり機(新潟県六日町)

おさよは二人いた(石川県奥能登)

七色の紙漉く里(高知県仁淀川)

山の中に海はあった(岐阜県海)

で、この本を買いたい人は、ややこいので説明。もともと、「はしりかねと八つの村のものがたり」というタイトルの本(上の画像のやつ)が最初でして、それの文庫版が「海の娼婦はしりがね」みたいです。 内容は同じですが文庫版は写真がないのかな。単行本の方は、カメラマンが撮った白黒写真がたくさん掲載されています。

渡鹿野島を書いた本では、引用として使われる際に「海の娼婦はしりかね/辺見じゅん」として紹介されるので、文庫版のタイトルの方が有名なようです。

文庫の方も1981年と古いので、読みたい人はキンドル版(電子書籍になってます)を買えばいいと思います。500円くらいです。「今は幻のはしりかね」だけを読みたい人は「歴史の中の遊女・被差別民―謎と真相」に再録されていますので、これを買えばいいのでは。さらにくわしく「はしりかね」について知りたい人は「志摩のはしりかね(岩田準一)」というもうちょい古い時代の本があるのでこれを買えばよいのでは。